市立札幌開成中等教育学校 田中 翔大
こんにちは。UTokyoGSC三期生の田中翔大です。
わたくしバイオリン田中は、同じ三期生のエアロゾル水谷さんと共に、2023年5月13日から21日にかけてアメリカ・テキサス州ダラスで開催された科学研究の世界大会「リジェネロン国際学生科学技術フェア(Regeneron ISEF 2023)」に日本代表として出場してきました。
私はバイオリンの物理学について研究しています。私が今回ISEFで発表した際のタイトルは “A Mathematical Study about the Sustaining Phenomenon of Overtone in Flageolet Harmonics on Bowed String Instruments”「擦弦楽器のハーモニクス奏法における倍音の持続現象に関する数理的研究」でした。実は、これまでの研究発表ごとにタイトルは少しずつ変わっています。2021年9月作成の研究計画書におけるタイトルは「ヴァイオリンのハーモニクスにおける切り替え振動の時間的遅れに関する考察」でしたし、2022年11月開催のUTokyoGSC成果発表会では「バイオリンのハーモニクス奏法における倍音の持続現象に関する数理的研究」でした。
このように変遷を辿ってみると、明らかにしたい研究対象は変わっていませんが、目的変数および研究アプローチがいかに洗練されてきたかが感じられます。こうやって研究の変遷が傍観できるのもUTokyoGSCでのこまめな「振り返り」やまとめの活動のおかげであると感じています。
また、私が研究発表で一番大切にしていることは「自分の好きを伝える」です。ISEFでも私はバイオリン侍として登場しました。
ISEFでは膨大な資料を全て英語で作成します。しかし、UTokyoGSCの活動を通して多様な資料作成を行い、先行研究として多くの英語論文を読んできた経験から、英語については全く苦労を感じませんでした。そのため、いかにわかりやすく「伝わる」発表ができるかについて探究することにフォーカスを置くことができました。
海外の研究者と英語で議論することは初めての経験であったのでどうなるものか非常にワクワクしていましたが、審査が終わった後の気持ちは「楽しかった!」の一心でした。科学研究を通して世界中の人々と繋がることができることの素晴らしさを実感しました。
スペシャルアワードとして「アメリカ音響学会賞1等」そしてグランドアワードとして「物理学・天文学部門3等」を受賞できました。受賞により、アメリカ音響学会の国際会議に参加するための奨学金もいただけたので、「音」について探究を深めている世界中の研究者とお話しできる機会にワクワクしています。
ちなみにISEFでは大きな「STEM」が展示されていました。私は「STEAM」の方が好きです。STEAMは私の探究の根幹になりました。